これまで「対話の豆知識」と云う事で、幾つかコミュニケーションに役立ちそうな事柄を紹介してきました。それにしても改めて思えば、私たちの悩みの多くは、その大半が対人関係に纏わるものであることに気づきます。そしてそれは、上手く自分を表現出来ていない事にも起因しているのではないでしょうか? そこで、この辺りで一度、自己表現の上手い方法と云うものについて考えてみたいと思います。
臨床心理学の領野で良く云われる自己表現の方法として「アサーション」と云うものがあります。我が国における第一人者と云えば、平木典子氏と云うことになり、判りやすく書かれていて、且つ、基本をしっかり押さえている良書と云えば「改訂版 アサーション・トレーニング ―さわやかな〈自己表現〉のために」だと思います。
読みやすい本なので皆さんと一緒に読んで行く事にしたいと思います。
ネット書店のアマゾンではこの様に紹介されています。
あなたは必要な時、自分の意見がはっきり言えますか。頼まれごとをした時、自分の気持ちを偽らずに“イエス”や“ノー”が言えますか。また感情的にならずに話し合えますか? 私たちは相手を傷つけるのを恐れ“ノー”と言えずに引き受けてしまったり、不本意に自分を押し殺して後悔してしまいがちです。また反対に、必要以上に自分の意見を押しつけ後味の悪い思いをすることもあります。このようなギクシャクした人間関係ではなく、相手も自分も大切にする人間関係をつくる自己表現がアサーションです
第1章 アサーションとは
第2章 人権としてのアサーション
第3章 考え方をアサーティブにする
第4章 アサーティブな表現 前篇
第4章 アサーティブな表現 後篇
第5章 言葉以外のアサーション
内容に入るのは、次回に譲る事として、ここでは、部分的に筆者が手を加え読み易く修正したことを断ったうえで、本書から 「アサーション度チェックリスト」(平木,2009) を紹介しておくことにします。
アサーション度チェックリスト
・誰かに好意を持った時、その気持ちを表現できますか?
・自分の長所や成功体験を人に話せますか?
・自分か緊張したり神経質になっている時、それを受け入れられますか?
・見知らぬ人たちの会話に気楽に入っていくことが出来ますか?
・盛り上がっている会話の場から立ち去り別れを切り出せますか?
・自分が知らないことや判らないことについて説明を求める事が出来ますか?
・人に援助を求める事が出来ますか?
・人と違った意見や感情を持った時にそれを表現できますか?
・自分が間違っている時それを認める事が出来ますか?
・適切な批判を述べる事が出来ますか?
・人から褒められた時に素直に対応出来ますか?
・自分の行為を批判された時に適切に対応出来ますか?
・不当な要求を拒む事が出来ますか?
・長電話に対して自分から切る提案が出来ますか?
・あなたの話を中断して話し始めた人にその事を指摘できますか?
・パーティなどへの招待を受けたり断ったりできますか?
・押し売りを断れますか?
・あなたが注文したのと違うものが届いた時その事を云って交渉できますか?
・あなたに対する人の好意が煩わしい時、適切に断れますか?
・援助や助言を人から求められた時、必要に応じて断る事が出来ますか?
どうでしょうか? 「YES」 の回答が多い方が、アサーション度が高いとされています。こう云う尺度もあるのだと知っておき、自分自身をチェックして、内容はまた今度紹介することにします。
【文献】
平木典子(2009) 「改訂版 アサーション・トレーニング 」 日本・精神技術研究所
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