話し相手とカウンセリングの「Lamplight相談室」公式ブログ

話すことには心を癒す力が宿ります。あなたの大切な話し相手となり、どんなお話も聴かせて頂きます。誰にも話せないホントの気持ち。でも、ここでなら大丈夫。あなたの心が少しでも軽くなりますように。~話し相手からカウンセリングまで~

カテゴリ:日々の想い > Coffee Break


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彼の沈黙

拙い作品ですが、ちょっとしたCoffee Breakのお供になれば……。


「彼の沈黙」

彼をひと言で語るのは、実に難しい事だ。

彼は、言葉以前の何かを、信じていた。
一瞬によぎる、震える様な、凍える様な、傷つきやすい、
ひとつの想いに、しがみついていた。

それは未熟で、形を持たず、けれど確かな、
脈を打つ、強い力を持った、小さな小さな想いなのだ。

それは真昼の月

彼は、根拠のない、一瞬のひらめきに、
大切なものをたくさん賭けた。

彼の賭けは、いつだって無茶ばかり。

『いくら話したって、いくら考えたって、無駄な事だ。
 そいつを実践してみせたって、結局は同じ事……。
 そんな事で俺達、わかり合えるわけないだろう?
 一瞬を信じる事だ』

と、彼の台詞。

目に見えないものと、
言葉に出来ないものと、
辻褄の合わないもの……。

そんなものを、彼は愛していた。
たとえば、そう、一粒の涙。

彼は、酔いにまかせて、悪態ついて、心優しい人々を、
何度も何度も傷つけた。

彼は一本の煙草を吸うために、友人達を騙したし、
珈琲一杯飲むために、大切な約束を破っては、
愛しい人を怒らせた。

彼に魅せられ、彼を信じた人々は、それは哀れに失意の底。

一度だって、彼は、弁解なんてしなかった。
一度だって、彼は、言い訳なんてしなかった。
一度だって、彼は、いい加減な謝罪なんてしなかった。

彼はただ、へらへら笑って、心の底から謝っていた。

彼は、自分勝手で、わがままで、子供で、無邪気で、残酷だ。

明日の事など考えない。昨日まで培ってきたもの達を、
ためらいもなく風に流して。

けれど彼は、そう彼は、いつだって、誰よりも怯えた瞳をしてた。

沈黙する彼のために、今宵、雨がふっている。



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話し相手20160922

拙い作品ですが、ちょっとしたCoffee Breakのお供になれば……。


「いつか祈りに」

伝えられない想いなら、
夜更けの雨に流してしまえ。

伝えられない想いなら、
無窮の闇に溶かしてしまえ。

過ちは、時に裏切りに似た真実であり、
正しさは、時に偽りに似た諦めである。

雨音だけのベッドのうえで、
想いはやがて静かに海となる。
幾つかの過ごしたシーンの断片が、
寄せては返し止む事もない。

その強い眼差しは、
まっすぐにものを見て疑わぬ、
幼さ残す、素朴な純情。
その奔放な振る舞いは、
気遣い、疲れ、溢れ出す、
不安に駆られた、刹那の情熱。

伝えられない想いなら、
その想いは誰がために?

伝えられない想いなら、 その想いは、汚れていないか?
伝えられない想いなら、
その事こそが、問われるだろう。

過ちは、時に裏切りに似た真実であり、
正しさは、時に偽りに似た諦めである。

その想いに汚れなく、
まして、己のためでもないのなら、
その想いは、

想いは、やがて、いつしか、祈りにかわる。

願望だとか、欲望だとかの、その果てに、
もしも真実ひとつ宿るなら、

想いは、やがて、いつしか、祈りにかわる。


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