話し相手20160411

およそ人の悩みと云うものは人間関係に纏わるものが多い。それは僕たちが社会的動物であり、人と接しながら生きている以上あたりまえではあるのだが……。に働けばかどが立つ。じょうさおさせば流される。意地をとおせば窮屈きゅうくつだ。とかく人の世は住みにくい 明治の文豪、夏目漱石がこのように書いていたのが思い出される。

そして身の周りの関わりのある人のなかには、誰にだって、苦手な人の、ひとりやふたりはいるものだ。嫌な相手、腹の立つ相手、頭の上がらない相手、癪にさわる相手……etc. あるいは、ひょんなことから関係がこじれて、一時的にそんな相手になってしまっていると云う人もいるだろう。

ならば、そんな人とは関係を持たなければ良い、と云って済ませられるかと云えば、そうもいかないのが現実と云うものである。それよりなにより、良好な人間関係を築ければそれに越したことはないのだし、穏やかな感情で付き合う事が出来れば、その方が良いのは云うまでもない。

人は感情の動物である、とは良く語られる事だが、そうした対人関係の悩みも、突き詰めれば感情の問題である。であるならば、なんとかコントロール出来ないものだろうか、と考えたくもなる。「対話の豆知識」 において「アサーション」 について紹介した際に、僕たちは A.エリス の「ABCD理論」に触れた。感情はどこから生まれるか。「(A)出来事・他者」 →「(C)感情」 このように相手が感情を引き起こしている訳ではない。「(A)出来事・他者」 → 「(B)認知」→「(C)感情」。 感情を生み出しているのは僕たちの認知なのである。つまり、認知を変えれば感情も変わるわけだが、実際には、これがなかなか難しい訳である。

ひとつ、有効だなと思った方法がある。かつてACジャパンが 「イイトコメガネ」 というCMをやっていたが、まさにそれである。これはなかなか的を得たCMだと思う。苦手な相手、嫌な相手、……etc.の良いところを探すのである。それもひとつではなく幾つも。出来れば、自分が相手の良いところだと思っている点を相手に伝えられればベストだが、なにもそこまでしなくても充分に効果的である。なかなか思いつかないことも多いが10も考えれば、自分の感情が穏やかなものになっており、ポジティブな心持ちになっていることに気付くだろう。機会があればお試しあれ。


【文献】
夏目漱石(1950)「草枕」 新潮文庫


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